ヴァージンの不埒な欲望
会いたいような、会いたくないような……複雑に心を揺らしながら、拓夢さんを待っていた。
でもやっぱり、拓夢さんに会いたい!そう想いが大きく傾いた時、黒い車が私の車の隣にスッと止まった。
拓夢さんだ!なぜだかそう確信して、自分の車の運転席から飛び出すように降りた。
私は全然車に詳しくないから、よくわからないけど……
滑らかな形のセダンタイプの黒い車体は、公園の景色を写すほどピカピカだった。
すごくカッコいい!日本車、だよね?やっぱり、高級な車だったりするのかな?
そんな事を思いながら、左隣に止まった車に近付いていくと、運転席のドアが開き拓夢さんが降りてきた。
「おはよう!ごめん!ずいぶん待たせたかな?」
初めて見るスーツ姿じゃない拓夢さんに、思わず見惚れる。ベージュのパンツに紺色のシャツ。シンプルだけど、拓夢さんが着ているとそれだけで絵になる。
そして、図らずも二人で同じ色の服を選択していた事に、気持ちが高揚した。
「おはようございます!大丈夫です。緊張しちゃって、家でじっとしていられなかったんです」
私は、少し肩を竦めて言った。時間はまだ、待ち合わせ時間の十分前だ。拓夢さんも、早めに来てくれたのだ。
緊張はするのに、不思議と拓夢さんには取り繕っていない言葉を、私は告げていた。