ヴァージンの不埒な欲望
「後ろ姿とかお顔を隠して、誰かはわからないようにします。使わせていただきたい時には、きちんと事前に連絡をして、星野さんの了承をとります。もしかしたら、使わないかもしれませんし」
「使わない?」
その言葉に少し冷静になった私は、上野さんを見つめて先の話を促した。小さく頷いた上野さんは、私の両手を優しく膝の上に置き、私の目を見ながらゆっくりと話し始めた。
「安西さんには、とてもお世話になっています。セカンド店の方向性や、こちらのお店の改装などを相談にのっていただきました。うちの依頼が、安西さんたちが受けた初めての大きな仕事だったそうで、それからずっと気にかけてくださいます。安西さんは今でも、うちでカットをしてくださいますし、新しいお客様を紹介してくださる事もあります」
拓夢さんの誠実さを感じて、私の顔は思わず綻んだ。拓夢さんは、やっぱり優しい人だ。
「安西さんが今回のように、若い女性を自分でお連れになる事は初めてです。せっかくなので、料金はサービスさせてくださいと、安西さんに申し入れたのですが」
上野さんの話に、ホッとしながら嬉しく思ってしまう。安西さんがここに女の子を連れてくるのは、初めてなんだ。
それが私へのレッスンの為だとわかっていても、嬉しくて、照れてしまう。熱くなった頬に、右の掌を当てた。