ヴァージンの不埒な欲望

作った無表情ではなく、本当に訳がわからなくて思考が止まっているという顔で、その人が私を見つめる。

あぁ、その人でもこんな顔をするんだと思えば、なんかおかしくなってクスッと笑った。

『開き直り』とでも言うのだろうか?自分の思っている事を、何でも言えそうに感じる。

この感覚は、今の職場で働く事を父に報告した時と似ている。

あの時は、父の眉間のシワがだんだん深くなっていくごとに、私の開き直りが閉じていってしまったのだ。

それでも!肝心な所は決して譲らなかったけど。

おいしいコーヒーで、パワーを充電。カップをソーサーに戻して、再びその人を見つめた。

その人はすっと目を眇めた。

「私は、三月で二十七才になります。ご覧の通りの感じの私は、男の人とお付き合いをした事は今まで一度もありません。高校は女子高、大学は女子大に通ったせいか、男の人と話す事さえも苦手です」

思わず、自嘲気味の笑みが浮かんだ。

「そんな私の将来を、父は心配していたようです。このままいけば一生独身だ。私が年を取った時、独りぼっちになってしまうと」

こんな事を話していると自分の将来を想像してしまって、無性に寂しくなる。

「それなら“お見合い”をさせて、結婚をしてしまえばいいと思ったようです。そのうち、父が認めた誰かとお見合いをする事になるでしょう。父が認めた方と結婚したなら、私は平穏な日々を送る事ができると思います。でも……」

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