化学反応検知中
そもそも、俺はマドンナのどこを好きになったんだろう。
顔?いやいや、失礼すぎる。
でもよく考えれば、俺は彼女のことをほとんど知らない。
誕生日も知らないし、住んでる場所は…西区って言ってたっけ?
好きな食べ物も知らない。好きなテレビ番組も知らない。
ほんと俺、彼女のどこが好きなんだろう。
自分に苦笑いしながら階段を上る。
窓から差す太陽はまだ高い位置にある。
気付いたら彼女を見ているし、声を聞いただけでテンションが上がるけど。
それならなんで、これまでに彼女を好きにならなかったんだ。
あんなに綺麗な人が同じ教室にいて、俺はなんで今まで彼女に目がいかなかったんだ。
きっかけって恐いと思う。
なんせ、俺の場合は全てに起因が自分の妄想。
…これはかなり恐いぞ。
どうして彼女を見るようになったのか、なんて、誰にも言えやしない。
その前に、この気持ちを誰かに告げる日なんて来ないと思うが。
だって無謀すぎるんだ。
相手はクラスのマドンナで、校内でも有名な先輩に告白される程の人だ。
彼女との未来なんて、来るはずがない。