化学反応検知中

奥には木の机があって、どうやらそれは先生の作業台のようだ。

机の上には美術の教科書や画集が置いてある。


いいな、この部屋。一種の隠れ家のよう。


教科書を手に取りながら思う。


(早く終わらせよ…、)


部屋をのんびり眺めてた俺は、本の多さを思い出して動き出した。

本棚に入りきらない本が床にも置かれている。

早めに片付けださないと、帰れない気がする。


俺は換気をするために机の奥にある窓に近づいた。

小さな擦りガラスの窓。なんとなく、雰囲気がこの部屋に合っている。


「明日は英語の小テストだっけ…」


1人だと誰だって気が抜ける。

俺は独り言を呟きながら窓の鍵を開けた。

錆びているのか、少し力を込めると小さく、ぎぃっと音をたてた。


「よいしょ、と」


からから、といういかにも軽そうな窓の開く音が耳に残った。


「…、ん?」


部屋から見える裏庭に、誰か女の子がいる。

制服のスカートが見える。
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