化学反応検知中


窓の音が聞こえていたのか、女の子がこちらを見る。


「あ、」


ここは人通りがないから、恰好の告白スポットだっていつか健人が言ってた。

俺には関係のない話だけれど、事実ここに呼び出される(or 呼び出す)人がいるからそんな話が出る訳で。


そうか。


「浅井、さん」


マドンナには、確かに関係のある話だ。

たくさんの人から人気のある、マドンナには。


俺の声は少し震えていた。

マドンナが驚いてこちらを見てるのが分かる。

なんでこんなところに、って、黒目がちのその目が語ってる。


準備室が2階にあるため、俺は今マドンナを見下ろす形になっている。

距離も、相手の表情が安易に分かるくらいだ。(視力1.5の俺の場合)


なんで久しぶりに顔を合わせるのがここなんだろう。

こんな、いかにも告白され待ちっていう。

なんで、なんだ。


「ごめん!」


突然聞こえてきたそんな声に、俺は思わずその場にしゃがんだ。


男の、声。


「ごめんね、待った?」
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