化学反応検知中
苦し紛れに呟いた俺に、健人は表情を変えないまま言う。
「いいんだよ、別に俺は。2人がどうなろうと」
「、」
「ただお前の態度が気に入らないだけ。なんなの?俺はそっち側の人間じゃないから、とか」
それは以前、俺が健人に対して言った言葉だった。
健人が他のクラスの友人と遊びに行くのに俺に声を掛けてくれた時、俺は確かにそう言って誘いを断った。
だって、そうだ。
俺はそんな華やかな人種じゃない。
俺は本当に、クラス内でも目立たない普通の人間なんだ。
だからそんな、皆ではしゃいでカラオケに行くとか、そういうことをしていい人間じゃないんだ。
「そっち側とかなんだよ。お前は何を基準にモノ見てる訳?」
「何って、…」
「俺らは何も思ってないんだ。俺も、マドンナも。お前を特別視なんてしてねえ」
「っとくべ、」
「そうだよ、お前は普通の人間だ。何も特別なことなんてない。俺らもそう、普通の人間だ」
健人がそう、はっきりと言った。
お前は普通の人間で、俺らも普通の人間だって。
「俺たちになんか超能力とかあるか?うん。ないよ。普通の人間だ」
「……」
「お前が何をそんなに自分自身を低く見るのかは分からねえけど、」
「――壁を作ってるのは、お前の方だ」