化学反応検知中


もうどれ程の時間が経っただろう。

足は限界で、体もくたくたで。


だけど彼女には会えなかった。


ぽっきりと、そんな感じで心が折れた気がした。

こういう運命なのか、って。

気付いた時にはもう遅いって、そういうことなのかって思った。


明日も学校はあって。

果たして俺は、学校で彼女に会った時に、


――この思いを伝えられるんだろうか?



最悪な気分を抱えながら足を運ぶ、その先は“高野駅”。


本当に色んな店を回った。

道行く人にどんなに変な視線を向けられようが、制服を着た女の子たちに走る姿を笑われようが。

俺はただ1人の女の子を探して走り回った。


でもやっぱり、こんな大きな街で彼女を見つけようなんて、それ自体が不可能だったんだ。

痛感している。その難しさを。


無遠慮な照明たちが俺を照らす。

とぼとぼと、そんな効果音が付きそうな歩みで駅を目指す俺は、どれだけ滑稽だろう。


フラれてもないんだ。

伝えてもないんだ、この気持ちを。

会えても、いないんだ。
< 72 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop