化学反応検知中
「むしろ女子が好きとかー?」
友人の1人が、そう声を上げる。
「いや、それはねえだろ」
「じゃあ、何ー?」
「好きな人がいる、とか?」
別の友人のにやり、したり顔に、俺たちは目を黒々させる。
「好きな、人?」
俺の口からはそんな言葉が零れ落ちていた。
「それだったら納得いくでしょ。マドンナが彼氏を作らない理由も、そんな話が一切出ないことも」
好きな人、か。
「マドンナの想い人?それ、どんだけかっこいいやつなんだよー。想像すらつかねえ」
「他になびかないほど一途に思い続けてる訳?」
「いや、知らね。あくまでも想像の話な」
「もしそれが本当なら、相手、まじでかっこいいんだろうな」
「モデルとか?」
「あり得る」
好きな人…、か。
俺は薄々気付いてたんだと思う。
この自分の中に広がっていくもやもやが、なんという感情かを。