雪の華~茉叶の恋~
幼なじみ
-お前って…チャライよな-
なんだよ…それ。
昨日まで「好きだ」って言ってたじゃん。
いつもそう…
恋の終わりなんてこんなもの。
尽くしてたつもりでも、愛を語り合ってたアイツはさらっとそう言う。
私がチャラかったら、あんたもチャライじゃん…。
茉叶…
ロック歌手みたいな名前。
4つ上に兄がいる。
自由でのびのび育ちすぎた兄…タイガ。
派手な名前。
見た目はそうでもないのに…。
タイガには幼なじみがいる。
私にとってはもう一人お兄ちゃんがいるみたい。
だけど…好き。
彼女になりたい。
転んで私が泣いたら、タイガじゃなくていつも皇雅くんが助けてくれる…
-大丈夫か?-って…
そう…皇雅くん
小さい頃は-おうちゃん-って呼んでた。
ケンカが大嫌いで、寒がりで、だけど…私を見ていつも笑ってくれる。
-茉叶はかわいいな-って
独り占めしたい。
-彼女にして?-
-茉叶は妹みたいだから…大人になるまで考えとく-
ずっと先じゃん…
妹って言われた時点で終わり。
特別な感情なんてない…ないのに…
どうして…頭なでてくれるの?
いつも助けてくれるの?
鈍感‼
全く女心わかってない。
優しくされたら…好きになっちゃうでしょ?
しかも…見た目かっこいいし
誰も…放っておかないじゃん
中学生になったよ私…
今なら彼女になれる?
だけど見ちゃったよ。
彼女と歩いてるとこ…
楽しそうには見えないけどね。
だけど、純粋そうな子
手…繋いでるし…
私だって恋してやる‼
負けないよ…おうちゃんに…
いつか-茉叶にすればよかった-って後悔させてやる。
いい女になって…一華も、二華も咲かせてやるんだから…
おうちゃんなんかより
いい男…見つけてやるんだから…
だから…いつか…彼女にしてね?
妹じゃなくて…一人の女として見てね。
何歳になってもその優しい声で
-茉叶-って呼んでほしいから…