愛‥とは?夫婦‥とは?

葵・・side

ピアノも中途半端
勉強もあまりやってない
そんな、私の先行きは
決まっているようなものだった。

そんなときに
ピアノの課の先生に
「編入してきた生徒に素晴らしい子がいる
その子のマネージメントを
やってもらえないか」
と、言われた。

「彼は、英語は、完璧だが
フランス、イタリア語に
少し不安があるから」
と。

私は二つ返事で了承した。

彼にあってみると
ピアノの才能も凄いが
容姿も整っていて
びっくりした。

だが、彼は誰に対してもだが
興味がなく、ピアノだけが
命のようだった。

私にも、もちろん
必要な事以外話すことはない。

そんな彼だが
日に何度か、携帯をみながら
優しい顔をする。

私は気になり
彼が、席を外したとき
たまたま、携帯を置いてあったから
覗いてみた・・・
それは、それは、綺麗な女の子の
寝顔だった。

寝ていてこんなに綺麗なんだから
目をあけたら、どんだけ綺麗なんだろう
と、思ったが
彼には、女性の影はない。

彼女だったのか
憧れていた人なのか
わからないが
今、彼に一番近いのは
私なんだから
私は必ず、彼と結婚する。

大学を卒業して一年過ぎたとき
彼は、招待を受けて
ピアノを弾いた。

その後、会食になり
彼はかなり酔い
私を誰かと間違えて
抱いたのだ。

まあ、彼の耳元で
一度呼びたかった彼の名を
ささやいた時だった
「大空っ、大空。」
彼は、急に起き上がり
私をそのまま抱き
翌朝、目が覚めたとき
ひどく落胆した顔をして
私に詫びた。

その日を境に
私は彼の部屋に転がり込んだ。
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