愛‥とは?夫婦‥とは?
二人には・・
綾華と大空は、
簡単な食事をしてから
ブラブラと歩いた。
「綾華、あの時はすまない。
謝って許されることではないけど。
本当に俺····自分勝手だった。
倒れたり、失語症になったり
その後の大学生活も苦労して。」
「大空っ、そ~ら。
もう、いいよ。
あの時は、本当に辛い日々だった。
だけど、もう過ぎたことだよ。」
「だけど·····」
「大空は、今、幸せなんでしょ?
葵さんと結婚して。」
「幸せか?わからない。
葵に愛情があるわけではないんだ。
綾華の時みたいに
愛してるわけではない。
だけど、嫌いではない。
葵は、自分のピアノをあきらめて
俺のマネージャーみたいな事を
してくれて支えてくれたんだ。」
「そうなんだ。
葵さんは、大空が大切で愛してるんだね。
幸せにしてあげなよ。」
「綾華は?綾華はそれで良いの?
俺が、葵といて平気なの?」
「えっ、何を言ってるの?
私の気持ちなんか、関係ないよ。」
「あるよ。
俺は、紗輝斗と綾華が
一緒にいると思うと
胸が締め付けられそうだったよ。」
「····ずるい····よ·····大空は···。」
大空は、そんな綾華を
そっと抱き締めた。
綾華は、びっくりして
身体に力が入ったが
大空の温もりを思い出して
心では、離れないといけないと
葵さんに、悪い····と
思いながら·····
身体は、大空の温もりを求めて
大空に身を任せると
「ああ·····綾華····だ。」
と、大空は呟いた。
「綾華、愛してる
あの頃と気持ちは変わってない。」
「嘘。
それに、大空は葵さんがいるでしょ?」
「嘘じゃない。
嘘じゃないんだ。
綾華に話さなかったことを
どれだけ悔やんだか」
と。
綾華は、当時を思い出し
涙が溢れた。
大空は、綾華の涙を親指で
拭いて、そっと綾華にキスをした。
「愛してる、愛してる」
と、ささやきながら、
何度も口づけをした。