愛‥とは?夫婦‥とは?
「やはり、綾華ちゃんだ。
どうして、ドイツに?
あれ、その子は?」
「あっ···あの·····」
と、言ってると
「まだ、時間ある?」
「はい。」
「じゃ、こっちに。」
と、言って
空港内のラウンジへ。
音空は
「ママ、だれ?」と。
「かいとおじさんよ。」
と、言うと
「とあれす。」
「とあ君か、はじめまして。」
と、音空の頭を海人さんが撫でると、
音空は嬉しそうにしていた。
「で、綾華ちゃんは、
なぜ、ドイツに?」
私は、嘘もつけなくて
海人さんに全てを話した。
大空が姿を消してから
今までを簡単に。
海人さんは、
「すまなかった。
俺達夫婦の事に巻き込んでしまって。」
「そんなことありません。
大空とは、違う道を歩くのが
決まっていたんだと思います。」
と、言うと
海人さんは、寂しそうな
顔をしていたから
「おじ様は、お仕事ですか?」
と、訊くと
「そうなんだ。
しばらくドイツにいるから、
また、会える?」
と、言われて
連絡先を交換した。
「で、その子は大空の子だね?」
「·····えっ···と·····はい。」
「似てるんだよ、大空に。」
「はぁ·····やはり、似てますよね。」
「ああ、ごめんな
一人で、大変だったろ?」
「全然、母が日本から
きてくれていたから
それに、病院のスタッフも
良い方ばかりだから。」
と、話したら
海人さんは、少しホッとして
「だからか?・・・」
「えっ、何が?」
と、言うと
海人さんは、パソコンをとり出し
画面を見せた。
そこには·····
『天才ピアノニスト
佐木山 大空、スランプか!!』
と、見出しで
大空が、コンサートやオーケストラで
失敗をしていることが書かれていた。
私は、唖然とその画面を見ていたら
「気にすることないよ。
まあ、俺が見せたんだけど。
彼の巻いた種だ。
彼が刈るしかないよ。」
と、言った。
「でも······」
と、言うと
「大丈夫だよ、大空は。
あっ、もうひとつ
大空は離婚したよ。」
と、言う。
海人さんは、
「あっ、まずい。仕事の時間だ。」
と、言って
「またね。綾華ちゃん、音空。」
と、手を振りながら行ってしまった。
私が、その後ろ姿を
ボォーと見ていたら
「ママ、かえろ。」
と、音空に言われて帰宅した。