明日の蒼の空

　行きと同じ運転手さんのおじさんの馬車に乗り込み（馬車を引くお馬さんは、午前と午後で交代しているとのこと）。暖かい客車の座席に座って待っていたところ、夏美さんが走ってやって来た。

　最終便ということもあってか、続々と乗客が乗ってくる。

　学校帰りの学生さんたち。仕事帰りのおじさん、おばさん、お兄さん、お姉さん。行きの馬車で乗り合わせたハツ江おばあさん。

「それでは、出発致します」

　パチン！　パチン！　馬車の運転手さんのおじさんが鞭を打ち、満席状態の馬車はゆっくりと動き出した。

　住宅街を抜けたところで、りさちゃんが客車の窓を開けた。

　今夜は星空を見上げる余裕があるのだと思う。りさちゃんは食い入るように星空を見上げている。

「お星様がいっぱいだよ！」

　りさちゃんが満天の星空を見上げている間に、私は夏美さんに写真を見せて、今日のりさちゃんの様子を報告した。

　夏美さんは安心した表情で、「どうもお疲れ様」と私を労ってくれた。

　家の近くの停留所で降りて、ご近所さんにりさちゃんを紹介したところ、どの人も子育てを応援してくれると言ってくれた。

「りさちゃん、またね。ばいばい」