明日の蒼の空
 お風呂上りの牛乳を飲んで、歯磨きをした後、りさちゃんが今朝、ルルくんと一万本のアスパラガスを読んだことを夏美さんに報告した。

「それじゃあ、今夜は違う絵本にしましょう」
 夏美さんがベッドで横になっているりさちゃんに絵本を読み聞かせ始めた。



 むかーし、むかし、あるところに、クマさん印の漢方薬を拾ったサルと、美味しそうな激辛柿ピーを拾ったカニがいました。

 ビールのおつまみといえば、柿ピーです。ビール好きなサルは、カニの柿ピーがどうしても欲しくなり、カニに提案をしました。

「ねえねえ、カニさん、カニさん。このクマさん印の漢方薬を飲めば、一瞬でクマさんのように強くなれるよ。どんな相手でも負けないよ。その柿ピーと取り換えてあげようか」

「サルさん、どうもありがとう」
 カニは大喜びでクマさん印の漢方薬を飲みました。

 その効果は一瞬で現れ、カニのハサミはみるみる大きくなり、巨木を一撃でなぎ倒せるほど強くなりました。サルの言ったことは本当だったのです。

「ひー、辛い。でも、すごく美味い。おかわり! もう一杯!」
 サルは激辛柿ピーをおつまみにビールを美味しく飲みました。

 東ひまわり町は今日も平和です。めでたし、めでたし、めでたし。
 


 ビール好きな夏美さんならではの作り話に、私は思わず笑ってしまったけど、りさちゃんは残念そうな顔をしている。
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