明日の蒼の空
 穏やかで楽しい日々が続き、りさちゃんが家に来てから、二週間が経った。

 今日も明るい笑顔でお歌を歌っているりさちゃんは、もうすっかり我が家の一員。

 夏美さんと話し合い、夕食後に、りさちゃんにいくつか質問してみようということになった。

 質問者は、一家の主である夏美さん。



「りさちゃんのお誕生日は、いつかな?」
 まずは明るい質問。

「九月二十八日だよ」

「りさちゃんは、秋生まれなんだね」

「うん」

「りさちゃんは、アニメは好き?」
 次は楽しい質問。

「好きだよ」

「それじゃあ、今度の日曜日に、アニメ映画を観に行きましょう」

「うん」

「りさちゃんのお父さんとお母さんのことを話してくれるかな?」
 これは一番重要な質問。

「…………話したくない」
 それまで笑顔だったりさちゃんの表情が急に暗くなってしまった。

 やっぱり、りさちゃんは、自分の両親のことを怖がっているのだろうか。暗い表情のままのりさちゃんを顔を見ていて、私はそう思った。

「どうして話したくないのかな?」

「…………怖いから。あたしの体を叩いたり蹴ったりしたの」
 りさちゃんの声は明らかに震えている。

 夏美さんは動揺を隠せずにいて、私も動揺してしまった。
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