明日の蒼の空
「お母さんに逢いに行く?」
 夏美さんがりさちゃんに優しく問い掛けた。

「逢いに行きたい!」
 りさちゃんは間髪入れずに大きな声で叫び、両手をテーブルについて椅子の上に立ち上がった。

 お父さんには逢いたくないけど、お母さんには逢いたい。早く逢いたい。その気持ちがひしひしと伝わってくる。

「あたしがりさちゃん家の様子を見に行ってみるから、りさちゃんのお母さんの名前を教えてくれるかな」

「うん」りさちゃんは大きく頷いた。「あたしのお母さんの名前は、ちひろだよ」

「ちひろさんだね。すぐに戻ってくるから、蒼衣お姉ちゃんと一緒に待っててね」

「うん」

「それじゃあ、行ってくるね」
 夏美さんは地上の世界に降りていった。

 私は大急ぎで、地上の世界に降りる方法と、この世界に戻る方法を、りさちゃんに教えてあげた。

 地上の世界に降りるには、逢いたい人の名前を心の中でつぶやいて、逢いに行かせてください。と心を込めてお願いする。それか、降りたい場所を心の中でつぶやいて、地上の世界に降りさせてください。と心を込めてお願いする。そうすると、逢いたい人の元や降りたい場所に瞬間的に移動できる。

 この世界に戻るには、戻りたい場所を心の中でつぶやいて、戻らせてください。と心を込めてお願いする。そうすると、この世界の戻りたい場所に瞬間的に戻れる。

 私の姉に逢いに行く場合は、八木茜に逢わせてください。と心を込めてお願いする。この家に戻る場合は、私の自宅に戻らせてください。と心を込めてお願いする。
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