明日の蒼の空
 十二月二十五日、クリスマスの夕方。

 サンタクロース姿の御手紙郵太郎さんが家を訪ねてきて、りさ宛ての手紙と綺麗に包装された小包を手渡してくれた。

 差出人は、りさの実のお母さんのちひろさん。

 りさは嬉しそうな顔で、お母さんからの手紙を読み、夏美さんと私の前で、クリスマスプレゼントの小包を開けた。

 サンタクロース姿のちひろさんがプリントされた手作りのクリスマスカードと赤い毛糸の帽子。



 メリークリスマス★ 私の大切なりさへ★

 だいぶ寒くなってきたから、新しい毛糸の帽子を被ってね。

 風邪を引かないように気をつけてね。

 りさはずっとずっと私の娘だよ。



 りさは大喜びで新しい赤い毛糸の帽子を被り、ぴょんぴょんと飛び跳ね始めた。

「すごくあったかいよ! すごくあったかいよ!」

 素直に嬉しさを爆発させたりさは、古いほうと新しいほうを交互に被り、クリスマスカードのお母さんに向かってお礼を言った。

 何よりも嬉しいクリスマスプレゼント。大好きなお母さんの愛情がたっぷりと注ぎ込まれたクリスマスプレゼント。本当に素敵すぎるクリスマスプレゼント。世界一、素敵なサンタさんからの贈り物。

 私はこのとき思った。やっぱり、本当のお母さんには敵わないと。悪い嫉妬ではなくて良い嫉妬。

 目に薄っすら涙を浮かべている夏美さんも、私と同じ気持ちだと思う。
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