明日の蒼の空
 もう一度、奇跡が起きるように、三人で地上の世界に降り続けた。

 りさはお母さんにいろんなことを伝えた。



 二つの赤い毛糸の帽子を、一日おきに交互に被っていること。

 夏美さんと私のこと。

 ご近所さんのこと。

 こども園のお友達や先生のこと。

 平仮名が書けるようになったこと。

 お遊戯をしたこと。

 お歌の練習をしていること。

 馬車に乗ったこと。

 みんなのひまわり憩い食堂のお子様ランチこと。

 みんなのふっちゃんでベーゴマをしたこと。

 町の餅つき大会に参加したこと。

 焼き餅とお雑煮を食べたこと。

 コマ回しをしたこと。

 凧揚げをしたこと。

 羽根突きをしたこと。

 自転車に乗れるようになったこと。



 残念で悲しいことに、クリスマスの夜以来、りさの声がちひろさんの耳に届くことはなかった。

 それでも諦めず、毎日、夕食を食べた後、三人で地上の世界に降り続けた。
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