明日の蒼の空
「ちひろさんは、あれから、どう過ごしているの？」

「部屋でぼーっとしていることが多いかな。時間はいっぱいあるんだけど、何をするにもやる気が起きなくて……」
　それまで明るく話していたちひろさんの声は一気にトーンダウンした。

「しばらくは無理しないで、ゆっくり休んでていいんじゃないかな」
　だいすけさんは、それ以上、何も触れなかった。

　すぐに話題を変えて、好きなサッカー選手のことを話し始めた。

　ちひろさんは笑顔を取り戻し、楽しそうに耳を傾けている。

「もしよかったら、またこの居酒屋に飲みに来ない？」

「だいすけくんの好意は嬉しいんだけど、私は無職だし、まだ喪中だし、遊んでいられる身分じゃないから」

「なるべく外出するようにして、気分転換したほうがいいと思うんだ」

　ちひろさんはどう応えようか悩んでいるようで、すぐに返事をしなかった。

　少し間を置いてから、「そうね。今の私には、気分転換が必要かもね」と言って応えた。

　ちひろさんとだいすけさんは、来週の金曜日も会う約束をして席を立ち、入り口付近にあるレジの方に向かっていった。

　だいすけさんがお会計をして、二人は居酒屋さんから出ていった。

　夏美さんと私とりさは、どうもお邪魔しました。と言って、店員さんに頭を下げて、家に戻った。
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