明日の蒼の空
 結局、私たちは観覧車に乗らず、柵の前で、二人が降りてくるのを待った。

 ちひろさんとだいすけさんは、お化け屋敷に入っていった。

 あたしたちもお化け屋敷に入りましょう。夏美さんが笑顔で言い出した。

 地上の世界では、夏美さんも私もりさも、お化けのような存在。というより、お化けそのもの。お化けがお化け屋敷に入る。私はなんとも複雑な気持ちになった。それに、私は子供の頃からお化けが大の苦手。当然のことながら、お化け屋敷に入ったことはない。

 どんなお化けがいると思う? 

 んんー、わかんない。

 それじゃあ、お化け屋敷に入って確かめましょう! 

 夏美さんとりさがお化け屋敷に入っていったので、私は渋々ながら、二人の後に続いて、お化け屋敷に入った。

 怖くないのだろうか。夏美さんとりさは暗闇の中をどんどんどんどん進んでいく。

 あははははははは! という夏美さんの甲高い笑い声と、きゃっきゃきゃっきゃ。というりさの元気な笑い声が聞こえてくる。

 私は怖くて怖くて、暗い通路の途中で立ち止まり、声を上げて泣いてしまった。

 他のお客さんたちが次々と私を追い越していく。誰も私を助けてくれない。



 暗い通路で泣きながら蹲っていたところ、夏美さんとりさが戻ってきてくれた。

 蒼衣ちゃん、大丈夫? 

 蒼衣お母さん、大丈夫? 

 大丈夫じゃないですよ。

 私はぎゅっと目をつむって立ち上がり、夏美さんとりさに手を引っ張られ、なんとか出口にたどり着けた。

 お化け屋敷は面白かった? 

 うん! すごく面白かった! 

 夏美さんとりさは笑顔。私だけ泣き顔。お化け屋敷にはもう二度と入りたくないと思った。
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