明日の蒼の空
 夕食の席で、夏美さんとりさに報告したところ、二人とも笑顔で祝福してくれて、喜んで出席すると言ってくれた。

「おめでたいから、もう一杯!」
 笑顔で叫んだ夏美さんは、ビールをおかわり。

「おめでたいから、もう一杯!」
 夏美さんの真似をしたりさは、牛乳をおかわり。

「おめでたいから、もう一杯!」
 嬉しくなった私は、お味噌汁をおかわりした。

「夏美さんは、結婚式に出席したことがあるんですか?」
 あると思ったけど、一応聞いてみた。

「あるわよ。最後に出席したのは、去年の夏だったかな」
 明るい表情で答えてくれた夏美さんは、親族や友人などの結婚式に、九回も出席したことがあるという。

 地上の世界で七回。この世界で二回。姉と和馬さんの結婚披露宴で、ちょうど十回目。

 結婚披露宴に出席するのは初めての私にとって、とても心強い存在。

「結婚披露宴かあ……。いいなあ……」
 夏美さんがぽつりとつぶやいた。

 ビールを飲む手が止まっていて、どこか虚ろな目をしている。

 地上の世界で暮らせていれば、夏美さんは彼氏さんと結婚して、幸せな家庭を築いていたかもしれない。

 その思いを考えると、姉と和馬さんの結婚を、素直に喜んでいいものかと考えてしまう。

「おめでたいから! もう一杯!」
 ビールをおかわりした夏美さんは、辛い気持ちは表には出さず、いつものように明るく振る舞ってくれている。

 もし、私が男性だったとしたら、夏美さんを好きになっていたかもしれない。それだけ素敵な女性だと私は思う。
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