明日の蒼の空
「あとは靴とバッグね。みんなのお店に行きましょう」
 明るい声で言った夏美さんの後に続いて、私とりさも仕立て屋さんから出た。

 披露宴用の靴とバッグ。どんなものにしたらいいのかわからない。

「結婚式や披露宴は、つま先の隠れるパンプスが基本なのよ」
 夏美さんが歩きながら教えてくれた。

「そうなんですか」
 私はファッションに疎いので、パンプスという靴があることを初めて知った。

 パンプス、パンプス、パンプス。いったいどんな靴なのだろう。と考えながら、みんなのお店に入り、レディースシューズコーナーに向かった。

「この靴がパンプスよ」
 さっそく夏美さんが教えてくれた。

「あ、その靴がパンプスなんですか」
 パンプスは、つま先の隠れたハイヒールのような靴だということがわかった。

「蒼衣ちゃんの好きな色のパンプスを選んでみて」

「はい」

 ドレスと同じ色にしようか。違う色にしようか。私は悩んだ挙句、ドレスと同じ色の、かかとの低い水色のパンプスを選んだ。

「ナイスチョイスね」
 夏美さんが笑顔で言ってくれた。

 ドレスもパンプスも水色。自分でもナイスチョイスだと思った。

 さっそく試し履きをして、ちょっと歩いてみた。

 コツコツという音が鳴っている。かかとが低いとはいえ、靴底の硬いパンプスを履いたのは初めて。私はハイヒールも履いたことがないので、歩き方がぎこちなくなってしまった。

「練習用に、もう一足いただいたらどう?」
 夏美さんが笑顔で言ってくれた。

「はい。それでは、もう一足、いただこうと思います」

 練習用のパンプスは、濃紺色。汚れが目立たなくていいと思う。

 披露宴用の水色のパンプスを箱に仕舞って、練習用の濃紺色のパンプスに履き替えた。

 早く履き慣れるように、しばらく運動靴は履かないことにした。
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