明日の蒼の空
 オレンジ色の夕焼け空の下、全力で走って町の中心部に向かい、息を切らしながら、仕立て屋さんに入った。

「走ってきたんですか?」

「は、はい。走ってきました」

 仕立て屋さんのおばさんが、汗だくになっている私に冷たいタオルを手渡してくれた。

 私はそのタオルで汗を拭いて、店内にある椅子に座って少し休憩した。

「蒼衣さんのドレスは、こちらです」
 仕立て屋さんのおばさんが、私のドレスを広げて見せてくれた。

 カタログで見たより、実物のほうが遥かに素敵。地上の世界で購入したら、いったいいくらになるのか。ゴージャスなドレスも無料でいただけるなんて、本当に夢のよう。

「こんなに素敵なドレスを仕立てていただいて、本当にありがとうございました」
 私は仕立て屋さんのおばさんに向かって何度も頭を下げた。

 本当に本当に、心の底から大感謝。

 長い時間を掛けて作ってくれたワンピースドレス。大切に大切に扱っていかなければならない。

「良い披露宴になるといいですね」
 笑顔で言ってくれた仕立て屋さんのおばさんが、私のドレスを箱に仕舞ってくれて、二つの大きな箱を、私に手渡してくれた。

 りさのドレスは、箱を開けてからのお楽しみ。

「本当にありがとうございました。それでは、家に帰ります」
 今一度、仕立て屋さんのおばさんに向かって頭を下げて、大切なドレスの入った二つの大きな箱を抱えて、仕立て屋さんから出た。
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