明日の蒼の空
　ここ数日間で、一気に春めいてきた。

　ホーホケキョ♪　

　今日もウグイスの鳴き声があちこちから聞こえてくる。

　可愛らしいつくしが地中から顔を出し、菜の花もタンポポも元気に咲いている。

　みんなのお店には、あしたばやふきのとうやアスパラガスなどの、春の食材がふんだんに並べられていて、みんなのひまわり憩い食堂も、春の食材をあしらった料理を出すようになった。

　日中は、少し汗ばむくらいの陽気。風がさわやかなので、とても過ごしやすい。

　春といえば、やっぱり桜。

　この世界の春を二回経験した夏美さんの話によると、毎年、三月二十日の午前零時頃、ポプラの樹が一斉に桜の樹に変身するらしい。

　未開、つぼみ、開花、一分咲き、三分咲き、五分咲き、七分咲き。徐々に花びらの数を増やしていき、四月一日の午前零時頃、全ての桜が満開になるという。

　その後、約一ヶ月間、桜の樹は満開に咲き誇り、四月三十日の午前零時頃から一斉に散り始め、五月一日の午前零時頃、ポプラの樹に戻るという。

　この世界に来てから幾度となく不思議な体験をしてきた。桜の樹の話も本当だと思う。とはいっても、にわかには信じがたい。自分の目で確かめる必要がある。
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