明日の蒼の空
「蒼衣は幼い頃から絵を描くことが好きでした。暇さえあれば、絵を描いていました。私の似顔絵をよく描いてくれました。和馬の似顔絵や私の友人の似顔絵も描いてくれたことがあります。姉の私が言うのもなんですが、蒼衣の描く絵はどれも上手でした。今は、天国で絵を描いていると思います。もしかしたら、画家になっているかもしれません。私はそう信じております。当初、披露宴は行わない予定でした。和馬と話し合い、蒼衣ために披露宴を行うことにしました。私たちの元気な姿を、蒼衣に見てもらうためです。空いている席は、蒼衣と蒼衣の友達のための席です。私の目には見えませんが、きっと来てくれていると思っております。私たちの元気な姿を見てくれたと思っております。私が悲しんでいると、蒼衣も悲しむと思います。私が笑顔でいれば、蒼衣も笑顔でいると思います。蒼衣を安心させるために、これからも、笑顔でいようと思っております。私のスピーチは以上です。長々と失礼致しました」
 姉は深々と一礼した。

 顔を上げて、私たちが座っている席の方に顔を向けた。

 にこっと微笑んで、席に座り直した。

 幸せそうな笑顔で、和馬さんと話し始めた。
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