明日の蒼の空
 結婚披露宴という、おめでたい席で、故人の私の話をしてくれた姉。故人の私たちを招待してくれた姉と和馬さん。それを了解してくれた和馬さんのご両親。私は嬉しくて嬉しくて嬉しくて、涙が止まらなかった。
 
 夏美さんが私の肩に手を乗せた。素敵なお姉さんね。

 りさがハンカチを差し出してくれた。泣いてちゃダメだよ。

 私は涙を拭いて、席から立ち上がった。笑顔を作って、姉と和馬さんの前に立った。
 
 結婚、おめでとう。誕生日も、おめでとう。私は、お姉ちゃんが用意してくれた席に座っているよ。友達も来ているよ。夏美さんとりさという新しい家族も来ているよ。お姉ちゃんと和馬さんの晴れ姿を見たよ。しっかりと目に焼き付けたよ。スピーチを聞いたよ。嬉しくてたまらないよ。披露宴に招待してくれて、本当にありがとう。必ず幸せになってね。私の分まで長生きしてね。和馬さん、本当にいろいろとありがとうございました。私の姉を、これからもよろしくお願い致します。

 こう伝えて、私は席に戻った。

 姉の笑顔を見た瞬間に、私はまた泣いてしまった。

 夏美さんとりさが私の手を握ってくれた。

 萌と美穂が私の肩に手を添えてくれた。

 ひーこさんと美紀さんと舞さんが、三人で作詞作曲したという愛の歌を歌ってくれた。

 とっても素敵な披露宴だったね。菓絵さんが微笑みながら言ってくれた。

 蒼衣さんは、お料理アートアーティストとして、ご活躍されていますよ。ひばりさんが姉に伝えてくれた。

 こんなに優しい人たちに囲まれて、私は本当に幸せ者だと思う。
 


 姉と和馬さんは、席から立ち上がり、抱き締め合って、キスをした。

 わお、夏美さんが声を上げた。羨ましいな。あたしもしたいな。

 ちゅってしたよ。りさが私に向かって言った。



 私の姉の姓は、滝沢に変わった。次に姉に逢いに行くときは、滝沢茜とつぶやかなければならない。滝沢茜、私のかけがえのない姉。
< 198 / 315 >

この作品をシェア

pagetop