明日の蒼の空
 それでは、そろそろ帰りましょうか。

 最後までいなくていいの?

 はい、もう十分です。

 今一度、姉と和馬さんに感謝の気持ちを伝えて、みんなで家に戻った。

 美穂が私のメイクを直してくれた。

 ひばりさんと萌と菓絵さんが美味しいお料理をたくさん作ってくれた。

 ご近所さんが祝い酒をいっぱい持ってきてくれた。

 ひーこさんと美紀さんと舞さんがまた愛の歌を歌ってくれた。

 私は嬉しくて、また泣いてしまった。

 美穂がまた私のメイクを直してくれた。

「今夜は無礼講よ! みんな! じゃんじゃん飲んで!」
 夏美さんの明るい掛け声により、みんなお酒を飲み始めた。

 私もビールを飲んだ。いつになく美味しく感じられた。

 ひばりさん以外の人は、みんな独身。

 恋の話、結婚の話、理想の男性の話。などの話で大いに盛り上がった。

 ビールを飲みながら、披露宴の余韻に浸っていたとき、夏美さんが、私のことを、蒼衣と呼んでくれた。蒼衣ちゃんじゃなくて、蒼衣。なんとも嬉しい響きだった。

「もう一度、呼んでもらえませんか」
 夏美さんにお願いしてみた。

「いいわよ。いっぱい呼んであげる」
 夏美さんは恥ずかしそうに言って、ビールを一気に飲み干した。

「蒼衣、蒼衣、蒼衣、蒼衣、蒼衣、蒼衣、蒼衣、蒼衣、蒼衣」
 ものすごい早口だった。

 みんな笑っていた。

 いっぱい呼ばれて、私は恥ずかしくなってしまった。でも、最高に嬉しかった。何度も何度も乾杯して、ビールをいっぱい飲んだ。
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