明日の蒼の空
 この日もりさを連れて、みんなのふっちゃんに立ち寄った。

「蒼衣さんに、頼みたいことがあるんだけど」
 菓絵さんの祖母さんが、珍しく私にお願いをしてきた。

「はい。どんなことでしょうか」

「菓絵が戻ってくるまでの間、お絵描き教室の先生になってくれないかねえ」

「え、私がですか」
 急なことだったので、私は驚いてしまった。

「ひばりさんに頼もうかと思ったんだけど、あの人は忙しい人だからね。小さな子供相手で大変だと思うけど、引き受けてくれないかねえ」

 せめてもの罪滅ぼし。私は引き受けることにした。

「私でよければ」と言って、菓絵さんの祖母さんから、具体的な説明を受けた。

 菓絵さんが運営していた、お絵描き教室の日時は、毎週火曜日と金曜日の午後七時半から九時までの間。生徒数は、十九名。男の子が五人で、女の子が十四人。下は五歳から、上は十二歳まで。自宅のリビングを、お絵描き教室として使用しているとのこと。月に一度、課外授業を行っていたという。

「私も夫も協力するから、なんとかやっておくれ」

「はい。出来る限り頑張ります」

 菓絵さんの祖父母さんのために頑張る。お絵描き教室の子供たちのために頑張る。菓絵さんのために頑張る。とにかく一生懸命頑張る。私はそう自分に言い聞かせた。



 夕食の席で、菓絵さんのお絵描き教室の先生になったことを話したところ、夏美さんも協力してくれると言ってくれた。

 私は、菓絵さんの代理として、お絵描き教室の子供たちに、絵の描き方を教える。夏美さんは、私のサポート役とレクリエーション係。りさを一人でお留守番させるわけにはいかないので、りさも菓絵さんのお絵描き教室に入れることにした。
< 210 / 315 >

この作品をシェア

pagetop