明日の蒼の空
「ちょっと早いけど、お弁当を食べようか」
 微笑みながら言った夏美さんは、から揚げ弁当。

 りさは、ハンバーグ弁当。私は、幕の内弁当。

 電車内で食べるお弁当が美味しいのは、なぜだろう。

「車窓からの眺めが良いから、もう一杯!」
 笑顔で叫んだ夏美さんは、ビールをおかわり。

 私とりさは、牛乳をおかわりした。

 電車内で飲む牛乳が美味しいのは、なぜだろう。



「次の駅で乗換えね」

 東ひまわり駅から数えて、二十七個目の駅を過ぎたところで、夏美さんが座席から立ち上がり、網棚の荷物を降ろしてくれた。

 私とりさはリュックサックを背負い、降りる準備を済ませた。

 夢降る新町という駅で降りた。

 ホームが一つしかない、東ひまわり駅とは比べ物にならない大きな駅。

 長いホームが八つもあり、大勢の乗客でごった返している。

 いろんな色と形の電車がひっきりなしにホームに入ってくる。

 駅の外は、高い建物でいっぱい。

 こんなところで迷子にでもなったら大変。

「あたしの傍から離れないようにね」
 夏美さんはそう言うと、りさの右手を握り締めた。

 絶対に迷子にならないように。私はりさの左手をぎゅっと握り締めた。
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