明日の蒼の空
「あのおじいさんは、すごく面白い人なのよ」
夏美さんが私とりさの方に振り向き、御手洗さんのことを話してくれた。
「車輪よし!」
外で車両の点検をしている御手洗さんは、無類の電車好きで、駅も線路も勝手に造ってしまったという。
電車も駅のホームも線路も手造りとのことで、八年間も掛けて、御手洗さんが一人で造ったらしい。
乗客がいなくても、毎日同じ時間に運行しているとのこと。
すごい人がいるものだ。と感心しているうちに、御手洗さんが運転席に乗り込んでいた。
「星のしずく海岸の到着時刻は、十四時半の予定です。しばらくの間は、緑の草原の、のどかな風景をお楽しみください」
穏やかな語り口調でアナウンスをしてくれた御手洗さんは、前を向いて、レバーを握り締めた。
「出発進行」
車掌兼運転手の御手洗さんの掛け声により、我が家を乗せた小さな電車はゆっくりと動き出した。
ガタンゴトン。ガタンゴトン。ガタンゴトンと音を立て、歩くより、ちょっと速いくらいの速度で進んでいる。
時速に換算すると、およそ七キロ。こんなに遅い電車に乗ったのは、私は初めて。
車窓からの風景がゆっくり流れていく。
夏美さんが私とりさの方に振り向き、御手洗さんのことを話してくれた。
「車輪よし!」
外で車両の点検をしている御手洗さんは、無類の電車好きで、駅も線路も勝手に造ってしまったという。
電車も駅のホームも線路も手造りとのことで、八年間も掛けて、御手洗さんが一人で造ったらしい。
乗客がいなくても、毎日同じ時間に運行しているとのこと。
すごい人がいるものだ。と感心しているうちに、御手洗さんが運転席に乗り込んでいた。
「星のしずく海岸の到着時刻は、十四時半の予定です。しばらくの間は、緑の草原の、のどかな風景をお楽しみください」
穏やかな語り口調でアナウンスをしてくれた御手洗さんは、前を向いて、レバーを握り締めた。
「出発進行」
車掌兼運転手の御手洗さんの掛け声により、我が家を乗せた小さな電車はゆっくりと動き出した。
ガタンゴトン。ガタンゴトン。ガタンゴトンと音を立て、歩くより、ちょっと速いくらいの速度で進んでいる。
時速に換算すると、およそ七キロ。こんなに遅い電車に乗ったのは、私は初めて。
車窓からの風景がゆっくり流れていく。