明日の蒼の空
　最近、よく見かけるようになった男性客がいる。

　見た感じ、三十歳くらい。

　ひょろっとした体型で、口の周りに無精ひげを生やしている。

　いつも空いている時間帯に来店して、私がみんなのひまわり憩い食堂に、お客さんとして通っていた頃に座っていた入り口近くの窓側の二人席に一人で座り、いつも暗い表情でランチを食べている。

　ドリンクは注文しないで、いつもお水だけを飲んでいる。

　パンもライスもスープもお味噌汁もおかわりしない。

　近寄りがたいオーラを放っている。

「何でもご遠慮なく申し付けてくださいね」

「ライスをおかわりしますか」

　ひばりさんや萌が笑顔で話し掛けても「大丈夫です」としか言わない。

　誰とも話さず、黙々とランチを食べて、食べ終わったらすぐに席を立ち、入り口付近にいる店員に軽く会釈をして、お店から出ていく。
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