明日の蒼の空
 河川敷には多くの人がいるのに、誰一人として空を見上げていない。

 私が描いた七色の虹の絵に全く気づいていない。

 私の横を何事もないかのように通り過ぎていく人がいる。

 残念なことに、地上の世界で暮らしている人々には、私が描いた絵が見えない。



 河川敷に立ったまま、つい今しがた描いた七色の虹の絵を見つめていたところ、パジャマ姿の小さな女の子が、いつの間にか、私の真横に立っていた。

 りさより少し年上に見えるパジャマ姿の小さな女の子は、私の真横に立ったまま、口を開けながら空を見上げている。

 驚いたような顔をしている。

 淡い水色の空のキャンバスに描かれた七色の虹の絵が見えているのだろうか。私は不思議に思った。
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