明日の蒼の空
「あの七色の虹の絵は、お姉さんが描いたんですか?」

「そうですよ」

「お空に絵が描けるなんて、すごいですね。どうやって描いたんですか?」

 空のキャンバスに絵が描けることは、とっくに世界中に広まっていると思う。

 笑顔で私に質問してきたパジャマ姿の小さな女の子は、空のキャンバスに絵が描けることを知らないのだろうか。

 私は疑問に思いながらも、パジャマ姿の小さな女の子に、空のキャンバスに絵を描く方法を教えてあげた。

「あたしでも描けますか?」

「描けると思いますよ」

「そうですか。描いてもいいですか?」

「いいですよ」

 私はパジャマ姿の小さな女の子に水色の色鉛筆を手渡した。

「どうもありがとうございます」
 嬉しそうにお礼を言ってくれたパジャマ姿の小さな女の子は、私が教えたとおり、空に向かってお願いして、水色の色鉛筆を空中に走らせた。

 空のキャンバスに絵を描くのは初めてのはずなのに、すらすら描いている。

 どのアーチもほとんど曲がっていない。

 まるで本物の虹のよう。

 私が描いた七色の虹の絵の内側に、七色の虹が架かっている。

 私より遥かに飲み込みが早いし、私より遥かに上手。

 私は驚きのあまり、言葉を失ってしまった。
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