明日の蒼の空
「あたしが天使だということを、信じていただけましたか」

 ずっとにこにこと微笑んでいるくーちゃんは、ウソをつくような子には見えない。

 くーちゃんが空のキャンバスに七色の虹の絵が描けたのは、純粋で素直な心を持っているからだと思う。

 純粋で素直な心を持っているから、天使さんに選ばれたのだと思う。

 私は、くーちゃんの言っていることを信じることにした。

 くーちゃんは、町の天使さん。

「はい。信じました」

「どうもありがとうございます」

 とても嬉しそうにしているくーちゃんは、私のことを、地上の世界で暮らしている人だと思っている様子。

 私が暮らしている世界のことは知らないようなので、私の正体は秘密にしておくことにした。

「あたしとお友達になっていただけませんか」
 くーちゃんが笑顔で私に言ってくれた。

「いいですよ。お友達になりましょう」
 私は喜んで返事をした。

 天使さんのくーちゃんとお友達になれて、すごく嬉しかった。

「どうもありがとうございます」

「私こそ、どうもありがとうございます」

 くーちゃんと私は固い握手を交わした。

 可愛らしい小さな手のひらから、とても温かい温もりが伝わってくる。

「またお会いできますか」

「はい。もちろんです」

 くーちゃんとまた会う約束をして、もう一度、固い握手を交わした。

 くーちゃんのすぐ目の前で姿を消したら、私の正体がバレてしまうかもしれないので、くーちゃんの姿が見えなくなるところまで歩いて、私は家に戻った。
< 294 / 315 >

この作品をシェア

pagetop