明日の蒼の空
 キャッチボールをしてください。と春子さんにお願いしたほうがいいですか。くーちゃんが私に尋ねてきた。

 もう少し、様子を見ましょうか。

 わかりました。

 無理にキャッチボールをしてもらうより、自然の流れに任せたほうがいい。



 くーちゃんと話している間に、日菜子ちゃんと寛太くんが、春子さんの元に駆け寄っていった。

「ママ、綺麗な石を拾ってきたよ」
 日菜子ちゃんが川原で拾った小石を春子さんに見せた。

「綺麗な石ね」
 春子さんの声には元気がない。

「ママ、早くキャッチボールしようよ」
 寛太くんが春子さんの腕を引っ張った。

「う、うん」
 春子さんは青色のカラーボールを持って、ゆっくりと立ち上がった。

 日菜子ちゃんと寛太くんに腕を引っ張られ、人のいない原っぱの方に歩いていった。

 春子さんと日菜子ちゃんと寛太くんは、三角形になって、キャッチボールを始めた。

 計画は順調に進んでいる。

 勝負はこれから。
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