明日の蒼の空
「どうもご馳走様でした」
 朝食を食べ終えた夏美さんは席を立って洗面所に向かった。

 私も席を立ち、自室に入って服を着替えた。

 下はいつものジーンズだけど、上は夏美さんがプレゼントしてくれた薄ピンク色のカーディガン。いつもよりちょっとおめかし。

「この服装でいいと思いますか?」
 ファッションセンスのいい夏美さんに聞いてみた。

「いいと思うわよ。あたしがプレゼントしたカーディガンを着てくれたのね」

「はい。せっかくなので着させていただきました。髪型はこのままでいいと思いますか?」

「いいと思うんだけど、ちょっとボサボサに見えるかな」

 東ひまわり町に来てから、髪は一度も切っていない。前髪も横髪も後ろ髪もだいぶ伸びている。自分では綺麗に整えたつもりでも、いつも髪を綺麗にしている夏美さんから見れば、私の髪はボサボサに見えるのだと思う。

「みんなのひまわり憩い食堂に行く前に、あたしが通っている美容院に行ってみたらどうかしら? 座ってるだけで綺麗にしてくれるわよ」

「は、はい。何ていう名前の美容院ですか?」

「街の中心街にある、びゅーてぃーさんふらわあよ」

「びゅーてぃーさんふらわあですね。あとで行ってみようと思います」

「うん。あ、いつの間にか、もうこんな時間ね」
 慌てた様子で自室に駆け込んでいった夏美さんは服を着替え始めた。

 私も自室に入り、大切なカーディガンを脱いで、汚れてもいい服に着替えた。

「いつもの時間に帰ってくるからね」

「はい、いってらっしゃい」

「いってきます。おれんじ夏みかん号! 時速百キロで突っ走れ!」
 今日も自転車に乗って出勤した夏美さんを見送った後、私は家事に取り掛かる。

 洗濯機を回している間に食器を洗ってリビングの床を拭いて、洗い終えた洗濯物を庭の物干し竿に干した。

 今日は布団を干そうかと思っていたけど、大切な用事が二つもあるので、明日にすることにした。
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