明日の蒼の空
 ひまわり畑を抜けた先には、紫色のラベンダー畑が広がっている。瑞々しい葉をつけた大きなポプラの樹があちこちに立っていて、至る所にタンポポが咲いている。

 夏美さんの話によると、ひまわりもラベンダーもタンポポも、一年中咲いているとのことで、春になると、ポプラの樹が桜の樹に変身するらしい。

 東ひまわり町に来た日の午後、黄色のタンポポ畑を見たとき、私は春だと思った。紫色のラベンダー畑とオレンジ色のひまわり畑を見たときは、夏なのかな。と思った。鈴虫の鳴き声を聞いたときは、やっぱり秋なのかな。と思った。

 今は何月なんですか? と夏美さんに尋ねてみたところ、今は九月だよ。と言って教えてくれた。それで私は今が秋であることを知った。

 タンポポは春に咲く花。ラベンダーとひまわりは夏に咲く花。というイメージが私の中では強い。

 秋なのに、タンポポが元気に咲いている。秋なのに、ラベンダーもひまわりも元気に咲いている。私はまだ見慣れていないので、外を歩いていると、四季の感覚がおかしくなったりする。

 春は春の花を楽しむ。夏は夏の花を楽しむ。それが四季の風情というもの。でも、一年中、四季折々の花が楽しめるのは、それはそれでいいことだと私は思う。
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