明日の蒼の空
「どうもお疲れ様でした。ショートヘアにしてみましたが、いかがですか?」

「さっぱりしましたし、髪が綺麗になって良かったと思います」

 生まれて初めてのショートヘア。

 ボサボサだった髪が綺麗になった。顔の肌がつるつるになった。

 これが私の顔? 自分でも驚くほどの変貌ぶり。

 姉が今の私の姿を見たら、きっと驚くと思う。私だとわからないかもしれない。

 私の髪と顔を、こんなに綺麗にしてくれた佐竹さんに大感謝。若いのにすごいと思う。

「佐竹さんは、美容師さんになって、どのくらい経つんですか?」

「今年で五年目になります」

「もう五年目になるんですか」
 美容師という立派な仕事に就いている佐竹さんを羨ましく思うとともに、私も人のお役に立てる仕事に就きたいと思った。

「よろしければ、ひまわりの香水をおつけしましょうか」

「あ、はい。お願いします」

 佐竹さんにつけてもらったひまわりの香水は、何とも言えない優しい香りがする。

 ひまわりの香水をつけてもらったのは私は初めて。というより、香水をつけたこと自体が私は初めて。ちょっと大人になったような気分。

「またいらしてくださいね」

「はい。本当にいろいろとありがとうございました」

 お出迎えにお見送り。座っているだけで髪と顔を綺麗にしてくれる美容院はとても素敵な空間。本当に夢のようなひと時だった。必ずまた来ようと思った。
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