明日の蒼の空
「髪を切ったんですね」

「はい。午前中に美容院に行ってきたんです」

「そうだったんですか。その髪型、蒼衣さんに似合っていると思いますよ。綺麗になって良かったですね」

「はい、良かったです」
 嬉しさのあまり、自然と口元が緩んでしまう。

 私の髪型を褒めてくれた萌さんに、ひまわりジュースを注文して、窓の外を見つめながら料理が来るのを待った。

「どうもお待たせ致しました。ごゆっくりとどうぞ」

「はい、いただきます」

 スプーンを握り締めて、とろとろオムライスを食べ始めたところ、みんなのひまわり憩い食堂の店員さんたちが代わる代わる私のところに来て「綺麗ですよ」「格好良いですね」「まるでモデルさんみたいですね」などの嬉しい言葉を掛けてくれて、ひばりさんも私の髪型を褒めてくれた。

 みんなのひまわり憩い食堂の店員さんは本当に優しい人ばかり。私は気分良くランチを食べ進めた。

「どうもご馳走様でした」
 今日のランチもとっても美味しかった。とろとろオムライスは特に美味しかった。初めて飲んだひまわりジュースは大人の味がした。

 今の私なら、ひばりさんにスケッチブックを見せる勇気がある。空のキャンバスに絵を描く方法を聞ける。あとはどのタイミングでひばりさんに声を掛けるかだけ。
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