明日の蒼の空
 町中には信号機も交通標識もなく、電信柱も電線も高層ビルもマンションもない。どの道も道幅が広いし、二階建て以上の建物がないので、どこに居ても空がよく見える。

 空き缶やペットボトルやタバコの吸殻やビニール袋などのゴミは一つも落ちていない。

 どこもかしこも綺麗な町に建ち並ぶ建物は全て木造。コンクリート製の建物はどこにも見当たらない。

 風力発電のための風車が各建物に設置されていて、町中を流れる川のほとりに大きな水車がいくつかある。

 子供は学校に通っていて、大人は働いている。

 外に居る人は、田んぼや畑で農作業をされている方々。住宅を建てている大工さん。馬車の運転手さん。荷馬車で荷物を運んでいる運送屋さん。赤色の自転車に乗って、手紙を配達している郵便屋さん。散歩をしているおじいさん。ジョギングをしている青年。子育て中の若いママさん。公園で遊んでいる家族連れ。

 すれ違うと、どの人も「こんにちは」と言ってくれて、私に笑顔で挨拶してくれる。

 犬や猫などの動物は放し飼いになっていて、たまに大きなお馬さんが目の前を通り過ぎていくことがある。
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