明日の蒼の空
「完成ね。記念撮影をしましょうか」
 にこにこと微笑みながら言ってくれたひばりさんが、エプロンのポケットから小型のカメラを取り出した。まるで四次元ポケットのよう。

「蒼衣さんが描いたひまわりの絵の横に立ってみて」

「あ、はい」
 私はひばりさんの指示に従い、自分で描いたひまわりの絵の真横に立った。

 こんなに嬉しい記念撮影は生まれて初めて。自然と笑みがこぼれてしまう。

「それじゃあ、撮るわね。はい、チーズ」

 パシャ! パシャ! パシャ! なんとも嬉しい響き。記念撮影までしてくれたひばりさんに大感謝。

「あとで写真屋さんに行って、現像してもらうわね」

「はい。楽しみにしています」

 できることなら、私の写真を姉に送りたい。元気な姿を見せてあげたい。でも、それはできない。

 私は気持ちを切り替えて、自分で描いた一輪のひまわりの絵を正面から見つめてみた。

「空中に浮かんでいる絵と文字に触ったら、どうなるんですか?」
 これは誰しもが思うことだと思う。

「触っても消えないわよ。自分で確かめてみて」

「あ、はい。それでは、触ってみます」

 空中に描かれているひまわりの絵に指で触れてみたら、指が貫通した。

 貫通した指を引き抜いてみたら、元通りになった。

 紙のように破けることもなく傷も何もついていない。

 とにかく不思議としか言いようがない。
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