明日の蒼の空
「あ、ひまわりの絵だ」
 空中に描かれているひまわりの絵に気づいたのか、ランドセルを背負った子供たちが、ひばりさんと私の元に集まってきた。

「このひまわりの絵は、お姉さんが描いたの?」
 黄色の帽子を被った男の子が私に尋ねてきた。

「そうよ」
 私は自信を持って答えた。

「へえ、すごく上手だね」

「褒めてくれて、どうもありがとう」

「ねえ、ひばりおばちゃん。僕もひまわりの絵を描いてもいい?」

「あたしも描いてもいい?」

「いいわよ。みんなでひまわりの絵を描きましょう」

 ひばりさんの呼び掛けにより、九人もの子供たちが一斉に空のキャンバスにひまわりの絵を描き始めた。

 指でなぞって描いている子。私のように色鉛筆を握って描いている子。リコーダーを振りかざして描いている子。どの子も手馴れたような手つきで空のキャンバスにひまわりの絵を描いている。

 高さは地上から一メートルくらいのところから三メートルくらいまでの間。位置はまちまち。

 オレンジ色のひまわり。黄色のひまわり。黄金色のひまわり。ピンク色のひまわり。赤色のひまわり。紫色のひまわり。大きなひまわり。小さなひまわり。可愛らしいひまわり。どのひまわりの絵も個性的。

 いろんな色と形のひまわりが空中に咲いている。まるで空のひまわり畑。

 地上の世界では決して見ることのできない光景。この世界ならではの素敵な光景。
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