明日の蒼の空
 優しい町の人たちに挨拶を返しながら、みんなのひまわり憩い食堂に向かって歩いていくと、料理の絵とオレンジ色のランチメニューの文字がだんだん大きくなってくる。

 超巨大な逆台形の箱に描かれているかのように、どの方角からも見えるようになっている。

 遠目からだと地面に対して垂直に見える。近くで見ると斜めになっているのがわかる。

 色鉛筆で描いたようには見えない。絵の具で描いたようにも見えない。油絵とは全く違う。

 子供向けの絵本に描かれているようなメルヘンチックな感じの絵。雲のようにふわっとした感じの文字。何回見ても本当にすごいと思う。

 絵も文字も、真下からだとよく見えない。四面に描かれている絵と文字の中は正方形の空洞になっている。

 地上からどのくらいの高さにあるのか、大きさはどのくらいなのか、厚さはどのくらいなのか、絵の裏側はどうなっているのか、描いた本人に聞いてみないことにはわからない。

 絵なのでさすがに匂いはしない。

 いったい何をどうすれば、空のキャンバスに絵を描くことが出来るのだろうか。私はまじまじと空を見上げながら考える。

 いくら考えてもわからない。ただただすごいと感心して、いつも口を開けながら見入ってしまう。
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