明日の蒼の空
「これで一通り教えたわね。まだ時間は大丈夫?」

「はい。夕方までに帰れば大丈夫です」

「もしよかったら、みんなのひまわり憩い食堂の真上に、料理の絵を描いてみない?」

「え、地上から、七十七メートルの高さにですか?」

「うん。空のキャンバスに絵を描く才能を持っている蒼衣さんなら、七十七メートルの高さにも描けると思うわよ」
 ひばりさんが微笑みながら言ってくれた。

 私がついさっき描いたひまわりの絵の高さは、地上から一・四メートルくらい。空のキャンバスに描いたとは言えない。空中に小さなひまわりの絵をちょこっと描いただけ。

 もっと高いところに描いてみたい。もっと大きな絵を描いてみたい。地上から、七十七メートルの高さに描けるなら、描いてみたい。

「喜んで描かせていただきます!」
 私は大きな声で返事をした。

「それじゃあ、私がいつも描いている場所に行きましょうか」

「はい」

 ひばりさんの後に続いて歩いていき、東ひまわり公園から二百メートルほど歩いた住宅街の一角で、ひばりさんが立ち止まった。
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