明日の蒼の空
　ひばりさんは愛する家族のために。菓絵さんは愛する恋人のために。いつの日か必ず再会できると信じて。一緒に暮らせると信じて。笑い合えると信じて。この世界で頑張って生きている。

　それは夏美さんも同じ。他の人も同じだと思う。地上の世界で暮らしている人たちも同じだと思う。

　愛する人への想い。大切な人への想い。それぞれがそれぞれの想いを胸に秘めて、日々を過ごしている。

　過去は二度と戻らない。この瞬間にも時は流れている。人生は前にしか進めない。だから前に進むしかない。

　夏美さんから、ひばりさんと菓絵さんの話を聞いて、この世界で姉と再会できる日まで、私も頑張らなければいけないと思った。

　頑張れという言葉は、使うタイミングを間違えると、時には凶器になることがある。心に重く圧し掛かることがある。頑張れと言われて傷つく人がいる。

　辛いときや落ち込んでいるときに頑張れと言われても、何をどうやって頑張るの？　これでも私は頑張っているんだよ。と言いたくなる。

　私が虐めを受けていた頃、姉は私に向かって頑張れとはひと言も言わなかった。何も言わず、私に優しく寄り添ってくれた。私の好きなものをたくさん買ってきてくれた。私の好きなようにさせてくれた。美味しい手料理をたくさん作ってくれた。

　そのおかげで、私は姉のために頑張ろうという強い気持ちを持てるようになった。

　だから私は、元気を無くしている姉に向かって頑張れとは言わない。とてもじゃないけど言えない。もし、姉に言葉を掛けられるとしたら、他の言葉を掛ける。無理しないで。とか、ゆっくり休んで。とか。

　でも、頑張れという言葉は、私は良い言葉だと思う。時には歯を食い縛って頑張らなければいけないことがあるから。そんなとき、私は自分に対して頑張れと言う。
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