明日の蒼の空
　東ひまわり町の人気店である、みんなのひまわり憩い食堂は一階建て。外壁は明るいオレンジ色。どの面にも大きな窓が四つあり、中の様子がよく見えるようになっている。

「蒼衣さん、いらっしゃい」

　オレンジ色のひまわり畑の絵が描かれている扉を開けて店内に入った瞬間に、みんなのひまわり憩い食堂の店員さんたちが一斉に挨拶してくれる。

　店長兼料理長のひばりさん。副料理長の水葉さん。コックさんの真美さんと有里さんと柚季さんと由紀さんと陽子さんと沙織さん。ウェイトレスの萌さんと美香さんと雫さんと路子とかんなさんと真紀さん。この他に、バーテンダーの香苗さんとスザンヌさんとレイチェルとサラさんという店員さんがいるらしい。

　みんなのひまわり憩い食堂の店員さんはみんな女性。見た感じ、二十代から四十代。

　いちばん年上が、店長兼料理長のひばりさん。いちばん年下が、私と歳が近そうなウェイトレスの萌さん。

　どの店員さんも、白の布地にオレンジ色のひまわりの刺繍が施されているエプロンを身にまとっていて、胸の辺りに名札をつけている。

「こんにちは」
　私は小さな声で挨拶をして、いつもの席に座った。

　入り口近くにある窓側の二人席。混んできたら、すぐに外に出られるし、外の景色がよく見えるので、ゆったりと落ち着いて座ることが出来る。

　私は昔から人見知りなところがあるので、夏美さんに連れられて初めて入った時はまともに挨拶ができなかった。あまりにも緊張しすぎて、美味しい料理をゆっくり味わう余裕もなかった。

　みんなのひまわり憩い食堂に通い始めて、今日で十日目。

　今はもうだいぶ慣れたので、普通に挨拶が出来るようになったし、落ち着いて食事も出来るようになった。

　今日も厨房の方から、美味しそうな香りが漂ってくる。
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