明日の蒼の空
「お味噌汁が出来たわよ」
 テーブルに料理を並べてくれた夏美さんも席について、いつものように二人で朝食を食べ始めた。

 納豆かけご飯はいつもの味だった。

 新生姜の甘酢漬けもいつもの味だった。

 夏美さんが早起きして作ってくれたワカメとアサリのお味噌汁はちょっとしょっぱかった。でも、すごく美味しかった。身も心も温まった。

 私は嬉しさのあまり、お味噌汁を三杯もお代わりした。

「今までずっと家事を任せてごめんね」
 恥ずかしそうに言ってくれた夏美さんが食器を洗ってくれて、庭の物干し竿に洗濯物を干してくれた。

「帰ってきたら、洗濯物を取り込んでおいてね」

「はい。夕方までに取り込んでおきます」

「それじゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」

 今日も自転車に乗って出勤した夏美さんを見送った後、私はパジャマ姿のまま、キッチンとダイニングの床を拭いて、庭の物干し竿に夏美さんと自分の布団を干した。

 ここまでは、だいたいいつもと同じ日常。ここから先は、いつもとは違う日常が待っている。
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