明日の蒼の空
 いつもの時間に帰宅した夏美さんは、彼氏さんからの手紙を読んだ後、オレンジ色のエプロンを身にまとって、夕食の支度を手伝ってくれた。

 夏美さんと一緒に料理を作るのは初めて。

 楽しくて嬉しくて、包丁さばきがいつもより軽やか。まな板の上のブロッコリーが踊っているかのように見える。

「初仕事、お疲れ様」
 嬉しそうな顔で労いの言葉を掛けてくれた夏美さんとビールで乾杯した。

 グラスを合わせた音がいつもより心地よく聞こえた。

「蒼衣ちゃんは、私の自慢の妹よ。明日は、みんなのひまわり憩い食堂でランチを食べようかな」
 明るい笑顔で言ってくれた夏美さんはかなりご機嫌な様子。

 美味しそうにビールを一気に飲み干した。

「ぜひ、そうしてください。明日のランチは、秋刀魚定食ですよ」
 嬉しくなった私は、夏美さんのグラスにビールを注いで、冷たいビールを一気に飲み干した。

 顔が真っ赤になってもいい。酔っ払ってもいい。今夜はもっと飲みたい気分。

「蒼衣ちゃんは、本当にお酒が弱いのね。もう顔が真っ赤よ」

「茹でダコみたいな顔になっていますか?」

「なってるわよ」

 血は繋がっていないけど、夏美さんと私は本当の家族のよう。

 私を実の妹のように可愛がってくれている夏美さんのために、家事も仕事も頑張ろうと改めて思った。
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