明日の蒼の空
　昨日までの晴天とは打って変わって、今日は朝からあいにくの雨模様。

　いつ降り出してもおかしくない雲行き。風が強くて肌寒い。

　念のため、私はカッパを着て傘を持って家を出た。

　ひまわり畑の中を歩いているうちに雨が落ちてきた。

　空は灰色の雲に覆われていて、どんどん雨脚が強くなっていく。

　灰色の空のキャンバスに描くのは私は初めて。上手に描けるか自信がない。

「私が傘を持つから、蒼衣さんは、絵を描くことに集中してね」

「はい」

　傘を持ってくれたひばりさんは雨の日でも描いている。

　手が冷たいなんて言っていられない。私も頑張って描かなければならない。

「それでは、描きます」

「うん」

　冷たい雨が降るしきる中、私は水色の色鉛筆を握り締めて、今日のランチの秋刀魚定食の絵を描き始めた。

　薄暗い灰色の空から落ちてくる雨粒が視界に入ってしまい、屋根や地面に叩きつける雨音が気になってしまい、寒さで手が悴んでしまい、集中力が欠けてしまって、思うように指を動かせない。

　表現が難しい、大根おろしの絵を描くのに手間取ってしまった。
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